なぜそうなるか
婚約指輪の内側の「Pt900」「K18」は、造幣局の証明ではありませんでした——造幣局は日の丸とひし形の記号だけを自分の証明として挙げています
婚約指輪を手に取ると、リングの内側に小さな文字が刻まれていることがあります。
「Pt900」や「K18」といった英字と数字の組み合わせが多く、プラチナや金でできていることを示す印だと受け取る方がほとんどでしょう。
一方で、その印を誰が打ったのか、誰が中身を確かめたのかまで考える機会は、あまりありません。
調べてみると、日本には国の機関に近い立場で貴金属の純度を確かめ、記号を打つ仕組みがあります。担っているのは、硬貨をつくっている独立行政法人の造幣局です。
そこで、造幣局のサイトにある「貴金属製品の品位証明」と「貴金属製品の品位区分と証明記号」の2ページを開き、刻印について書かれた部分を並べました。
以下では、それぞれの原文を引いて整理します。手元の指輪がどれに当たるか、どの指輪を選ぶべきかは、この記事では判断しません。
・造幣局は、事業者の依頼で貴金属製品の純度を試験し、合格品に証明記号を打っている
・この証明記号(通称ホールマーク)は任意の制度で、付いていない製品もある
・「K18」「Pt900」などの記号は、造幣局の証明記号ではないと造幣局は明記している
・カラット表示(K18など)と造幣局の千分率の区分には、対応表がある
・ホワイトゴールドとプラチナ(白金)は別の金属だと造幣局は説明している
指輪の内側の刻印は、誰が打っているの?
指輪の「Pt900」は、国が確かめた印なの?
造幣局の「貴金属製品の品位証明」のページは、ホールマークのデザインを説明した段落の最後に、次の一文を置いていました。
K18、Pt900などの記号は造幣局の証明記号ではありません。
では、造幣局は何をしているのか。同じページの冒頭は、仕事の中身をこう述べます。
ここでいう「品位」は、製品に含まれる貴金属の純度のことです。造幣局が打つのは、試験に合格した製品に限った証明記号であり、英字と数字だけの刻印とは別のものとして扱われています。造幣局では、公的な第三者として、貴金属製品の製造又は販売をしている事業者の方々からの依頼に応じて、貴金属製品の品位試験(分析を行い、製品に含まれる貴金属の純度の割合を調べること)を行い、この試験に合格したものには、次のような証明記号を打刻してその品位を証明しています。
ホールマークは、どの指輪にも付いているの?
ホールマークが無い指輪は、何か問題があるの?
同じページには、制度の性格について次の記述があります。
続けて、造幣局は「貴金属の品位は目で見てわかるものではありません」とも添えます。マークが無いことは、それだけで純度が低いことを意味しません。ただ、純度を第三者が確かめたかどうかは、このマークの有無で見分けられる、というのが造幣局の説明の組み立てです。このマークは任意の制度として設けられています。そのため、市販されている貴金属製品にはマークのない製品もあります。
ページの図の説明によれば、ホールマークは3つの要素の組み合わせです。日本の国旗(日の丸)、ひし形の中に千分率で純度を示す数字、そして白金製品の場合は白金または白金合金を示す記号です。
「K18」と「750」は、同じ純度を指しているの?
K18 と書かれた指輪と、750 のホールマークの指輪は同じ?
「貴金属製品の品位区分と証明記号」のページは、カラット表示の由来から書き始めます。
これは、金の品位表示法として伝統的に使われているもので、純金を24として計算され、カラット(K)を単位としています。
そのうえで、造幣局自身の扱いが続きます。
造幣局ではカラット表示の刻印は行っておりませんが、造幣局の品位証明区分とカラット表示との対応は表のようになります。
ページの対応表を、そのまま書き写すと次のとおりです。
- 999:K24
- 916:K22
- 750:K18
- 585:K14
- 416:K10
- 375:K9
ただし、同じページは両者の違いにも一言ふれていました。
K18とだけ刻印のある金製品は、造幣局で品位を証明したものではありません。
プラチナの指輪の「900」は、何を意味するの?
プラチナの指輪に 900 とあれば、残りは何?
品位区分のページによれば、造幣局の区分は素材ごとに分かれます。
白金について、ページは「見た目が銀と似ています」と断ったうえで、白金の記号と900の組み合わせがあれば、品位が90%の白金だとわかる、という説明でした。残りの10%に何が混ざっているかは、このページの説明には出てきません。品位証明は、白金製品については4区分、金製品については6区分、銀製品については5区分、白金及び金を接合した製品については5区分により行っています。
また、平成24年4月以降に受け付けた製品から、国際標準規格(ISO9202)と日本産業規格(JIS H6309)に準じた表示に変わった、という注記もあります。純金属の表示が「1000」から「999」になった点について、ページは次のように補っています。
品位「999」の表示は、改正以前に受付した「1000」表示と、証明している品位は同じです。
ホワイトゴールドはプラチナの一種なの?
白っぽい金色の指輪は、プラチナと同じ?
品位区分のページの「豆知識」には、名前の紛らわしさについての一文があります。
同じ箇所によれば、金の品位が同じなら、ホワイトゴールドもピンクゴールドも同じホールマーク表示になります。色の呼び名と、純度の表示は別の話として読むのが、このページに沿った受け取り方です。なお、ホワイトゴールドを日本語に直訳すると「白金」となりますが、本来の白金はプラチナのことでありホワイトゴールドとはまったく異なるものです。
この記事で確認したこと
・造幣局は、事業者の依頼で純度を試験し、合格品に証明記号(ホールマーク)を打つ
・ホールマークは任意の制度で、マークのない製品もある
・「K18」「Pt900」などの記号は、造幣局の証明記号ではない
・金の区分750はカラット表示のK18に当たる、という対応表がある
・ホワイトゴールドは金合金で、白金(プラチナ)とは別のもの
刻印の意味で迷ったときは、購入先に「誰が純度を確かめたか」を尋ねると、話の出発点がそろいます。
よくある質問
ホールマークを付けてもらうには、個人でも依頼できますか
造幣局のページは、依頼する側を「貴金属製品の製造又は販売をしている事業者の方々」と書いています。受付窓口はさいたま支局で、手数料は有料とされています。個人の持ち込みについての記載は、今回読んだ2ページにはありませんでした。
K18 と刻まれた指輪は、純度が確かでないということですか
造幣局のページが述べているのは「造幣局で品位を証明したものではありません」という点までです。純度そのものについて、良い悪いの判断は示していません。手元の指輪の純度が気になる場合は、購入先に確かめるのが確実です。
古い指輪に「1000」のホールマークがあります。今の「999」と違うのですか
品位区分のページには、改正以前の「1000」表示と今の「999」表示は、証明している品位が同じだとあります。表示の変更は平成24年4月以降に受け付けた製品からです。
この整理が変わる条件
- 造幣局が「貴金属製品の品位証明」や「品位区分と証明記号」のページを改めた場合
- 品位の区分や表示の決まりが、国際標準規格や日本産業規格の改正に合わせて変わった場合
- 造幣局の品位証明の受付や手数料の扱いが変わった場合
出典
- 造幣局「貴金属製品の品位証明」 https://www.mint.go.jp/operations/exam/operations_certification-01.html
- 造幣局「貴金属製品の品位区分と証明記号」 https://www.mint.go.jp/operations/exam/operations_certification-02.html
指輪を選ぶ前に、刻印の意味と保証の内容を、購入先の説明と造幣局の最新のページで確かめてください。
当方が上の出典を引いて確かめた日: